環境コンサルティング業界で勤めていますが、この業界は外からは分かりづらいと感じます。一口に環境コンサルと言っても、やっていることがばらばらで、企業研究の際に苦労した覚えがあります。今後、就職や転職でこの業界を考える方のために、私なりの考えを整理してみます。
ここでの情報は1企業で勤めている筆者個人の考えであり、業界全体の共通認識でも、所属企業の見解でもありません。
環境コンサルティング企業とは
環境分野に特化したコンサルティング企業の総称です。分野としては、廃棄物、化学物質、海洋保全、放射線など、様々な環境分野および環境に起因する人の健康問題に関する高い専門性を持っています。主要な顧客は、民間企業や行政の環境部門を担当する部署になります。
環境コンサルティング企業の業務分野
環境コンサルティング業界が取り扱う専門分野は、以下のように多岐にわたります。
- 建築系:エンジニアリング、環境アセスメント
- 化学系:川、海、土壌などの化学物質測定
- 生物系:海や山での生物調査、自然環境調査
- 経営系:ESGやTCFDなど企業の環境対応
これらの分野は複合的に関わっていて、環境分野の複雑さがうかがえます。環境コンサルティング企業には様々な環境分野のバックグラウンドを持った専門家が必要ともいえます。
環境コンサルティング企業の業務内容
環境コンサルティング企業が顧客から受注する具体的な業務には、以下のようなものがあります。
- 現地調査、サンプル採取・計測
- 建設計画に関する調査、計画立案、設計
- 最新知見や海外動向の調査
- 環境に関わる経営戦略策定
- ソフトウェア開発
業務内容も様々ですので、企業ごとに得意な分野が決まっています。現場で測定・分析ができる技術がある企業もあれば、知見調査のみに特化した企業もあります。これが、環境コンサルティング企業を一概にとらえきれない所以でもあります。
環境コンサルティング企業の業種
上記で解説した通り、環境コンサルティング企業はそれぞれ得意分野があります。それは概ね、業種の違いと理解することができます。以下に、関係する業種をまとめました。
- 建設コンサルタント:建物の建設に関わる調査、分析、計画立案、設計などに関する業務を行います。大手建設コンサルティング企業は環境部門を持っており、ここに含まれます。
- 化学系調査会社:環境中の化学物質を測定する技術と知見を持った企業です。水質や土壌成分を調査します。独立系の分析会社が多くあります。
- 生物系調査会社:自然環境の生物を調査します。建設コンサルティング企業が部門として保有している場合もありますし、独立系の企業もあります。
- 環境アセスメント企業:新設時や建設後の環境調査を行う環境アセスメントを行う企業です。電力会社、石油化学や大手重工系企業のグループ企業・子会社に多いです。
- シンクタンク:政策関連の調査に強みをもつ企業です。金融企業が親会社の国内大手シンクタンクが有名です。
- 監査法人:金融領域に強く、ESGや環境経営に関する戦略立案が得意です。国内企業だけでなく、外資系企業も有名です。
環境コンサルタントに求められる資格等
環境コンサルティング企業で専門家として働くには、特に資格等は必要ありません。上記の多彩な業務からわかるように、一律に必要な資格や知見があるわけではありません。ですが、関連する分野の学位・高い専門性は必要で、仕事によっては技術士の資格、英語スキルは求められます。
また余談ですが、環境コンサルティングといっても会社によって業務内容や求められるスキルが異なるため、転職時によく調べる業界全体の情報(学位や職歴、平均年収など)はあまり参考にならないかもしれません。
まとめ
今回は環境コンサルティング企業について情報をまとめてみました。上記のある一分野の人間の意見ですので、興味のある方はぜひご自身で企業情報、転職口コミサイト、公共事業受注実績などを調べてみてください。