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環境法って何?環境基本法との違い

事業所の環境基準の対応を担当する際、見覚えのある環境法。よく似た言葉に、環境基本法がありますが、両者の違いは何なのでしょうか? 今回は言葉の定義と、全体像についてまとめました。

〇環境法とは?

結論から言うと、実は環境法という法律はありません。

環境保全に関する様々な法律もしくはその分野を、まとめて環境法を呼んでいます。大まかには公害を防止するための法律と、自然環境を保全するための法律に分けられます。

企業からすると、温暖化対策・排水・化学物質など様々な法律上の懸念があり、対応の範囲を考える際にまとめて1つのターゲットとして位置づけることで、社内対応を取り決めています。

〇環境基本法とは?

一方で、環境基本法とは、1993年に制定された法律の名称です。

もともと1967年に公害対策基本法が施行されていましたが、それを廃止し、環境政策の基本的な方向性を示すものとして新たに制定されました。公害対策は、1960年代に大きな社会問題となっていた四大公害事件の経験から、1970年代にかけて法律が整備されました。一方、環境保全としては、1972年に自然環境保全法が制定されました。「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的」(環境基本法第1条より)とし、日本の環境法の最上位に位置する法律として位置づけられています。

構成としては、第一章 総則(第1~第13条)、第二章 環境保全に関する基本的施策(第14~第40条の2)、第三章 環境保全に関する審議会その他の合議制の機関等(第41~第46条)によって成り立っています。

第2条の定義には、「地球環境保全」の対象として「人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少」など、「公害」の対象として「大気の汚染、水質の汚濁」「土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下」「悪臭」などと明確に記載がされています。

第15条には環境基本法の柱となっている、環境基本計画に関する記載があります。環境に関する政策を国レベルで政府全体として行うという基本的方向が示されています。環境基本計画は法定計画(法により施策が定められ、行政指針となる計画)と位置付けられています。第41条に基づき環境省に設置される中央環境審議会の意見をもとに、6年ごとに改定がなされています。2022年現在、最新のものは平成30年(2018年)に閣議決定された第五次環境基本計画です。SGDs、パリ協定の内容を反映させた方向性を示しています。

また政策として規制(第21条)による措置を行うだけでなく、経済的措置(第22条)による環境保全に言及があります。第22条には、環境保全を助長するための経済的な助成と、経済的負担を課すことに関する施策の方向性が記載されています。

環境基本法の全文はこちらです。

〇まとめ

今回は、環境法と環境基本法の違いに関してまとめました。学び始めには、両者の違いに困惑するかもしれませんが、

・環境法は総称

・環境基本法は具体的な法律

と覚えておくとよいでしょう。