Hazy Ideas

日々の勉強の気づきを書き出しています

論文システムへの課題意識

やり残した作業をしている。学生時代の研究の論文執筆だ。

これはお金にもならないし、業績として評価の対象にならない。一人の人間として、科学会への貢献のためだけにやる。どの雑誌に出すかも、研究のレベルを考えて調べなければならない。投稿料も、前のところで出してもらえるとは思うが、最悪は自費になる可能性もある。

マチュアの小説家や漫画家が、TwitterYoutubeで発表するようなものだと思う。無償か、よくても副業的なものである。

(注:論文とは研究者が成果を発表する媒体で、英語で発表することがほとんど。論文は分野ごとに分かれており、まとめたものを雑誌と呼ぶ。雑誌には難易度があり、有名誌はハードルが高く、発表されれば研究者として評価も上がる。一般にも有名なものとして、医学系で有名な雑誌にLancet、自然科学系で有名なものにNatureやScienceなどがある。)

 

私はまだ査読の経験などもないまま離れてしまったが、研究の世界にいてわからないことがあった。それは、学術誌のシステムだ。私の理解では、

・論文を出したい人が20万~80万円のお金を出版社に支払う

・査読をする人はボランティアでレビューする

・出版社はほとんど印刷せず、Web上でアーカイブを管理する

というものだ。

 

このシステムは、本で例えるなら、小説家が自費出版するのに近いのではないかと思う。小説家は印刷会社にお金を支払って作ってもらうが、本屋での売り上げは小説家には一切入らない。

査読のシステムも謎だ。ボランティアなので、研究者は無償で、勤務時間や休日を使って人の論文を読んでコメントをする。査読をした回数や雑誌は公表されない(できないと思われる)。

 

数百本の論文を公開している雑誌が集めたお金は、どこにいってるのだろうか。YoutubeAmazonと違って世界中にサーバーがあるわけではないだろうから、特定の国のサーバーを使うのだと思うが、年間契約費なんて数万円ではないだろうか。事務局人件費、管理費、税金(非営利では?)など含めて年100万円も行かないのではと思う。

 

査読を引き受けることにはメリットもあるという。それは、最新情報の収集や、研究者ネットワークに入ることができ、雑誌の編集者になれば経歴としても評価されるらしい。つまり、研究者の熱意と善意によってなりたっているのだ。

 

このシステムができた昔と違って、雑誌の数も桁違いに増えているし、ネットで査読・公開ができるのでスピード感も早い。同じシステムを続けられるのだろうか。日本の研究者の話で言えば、一応先進国なので投稿料が高かったり(経済後進国だと安くなる雑誌がある)、英語の校正のために追加で数万円支払っている。研究費が十分にない研究者にとって、調査や実験など本業以外にこれだけのお金がかかることは大きな負担である。

 

イデア的には、

・査読者への報酬を支払う

・投稿者から査読者へのフィードバックのシステムを入れる

・投稿料を下げる、投稿から出版までの時間に応じて変動させる

など考えてみた。

上記の課題の解決に直接つながってない気がするので、まだ引き続き考えてみたいと思う。