〇リスクの評価とは
リスクとは、影響の程度×起きる確率、と定義される。化学物質のリスク評価は、定期的な見直しが行われている。
〇化学物資の影響評価とは?
生態評価を行うためには、曝露解析と影響解析の二つが行われる。曝露評価は、化学物質が環境中の生物にどの程度暴露されるか、影響評価は、どの程度生物に影響を及ぼすかが評価される。その中でも毒性影響を評価するために、いくつかの生物種を使った毒性試験が行われ、指標が作成される。用いられる生物は、魚類(コイ、ゼブラフィッシュ)、甲殻類(ミジンコなど)、植物など様々である。
試験方法については、環境省や米国環境保護庁(EPA)のほか、国際機関である経済協力開発機構(OECD)もガイドラインを発表している。
〇言葉の定義
ある化学物質が、対象の生物に影響(成長、繁殖、遊泳能力など)する量を、以下の指標によって定義している。
NOEC:無影響濃度、No Observed Effect Concentration。生物に影響が出ない最大濃度。
LOEC:最低影響濃度、Lowest Observed Effect Concentration。生物に影響が出る最小の濃度。
PEC:予測環境中濃度、Predicted Environmental Concentration。実測値や文献値から設定される環境中の濃度。
PNEC:予測無影響濃度、Predicted No Observed Effect Concentration。生物に影響しないと予想される濃度。
LC50:急性影響濃度、Lethal Concentration。半数が死亡する濃度。
EC50:半数影響濃度、Effective Concentration。半数に影響する濃度。
〇どのように使われる?
以下のような評価手法に用いられる。
・ハザード比
PEC/PNECの比は、ヒト健康のリスク評価に使用される。これは最も一般的に用いられる評価手法として、ハザード比とも呼ばれる。この比が1より大きければリスクあり、1より小さければリスクなしと評価される。
・感受性分布
試験生物ごとのNOEC、またはLC50の数値をプロットしていき、95%の生物種に対して影響が出ない濃度としてPNECを決定する。
〇まとめ
上記のように、化学物質の環境リスクを評価するための値は複数ある。それぞれの定義を頭に入れておく必要がある。