「相対リスク(相対危険、relative risk)」という表現の中に、複数の指標が包括されていることはご存じでしょうか。今回は、相対リスクの種類についてまとめました。ここでの用語の意味や区分は、書籍や研究者によっても異なる可能性があるので、参考としてご理解ください。
相対リスクとは
相対リスクは曝露群のリスクと、非曝露群のリスクの比を表した指標です。つまりリスクに関する比を表していれば、すべて「相対リスク」と呼べることになります。相対リスクとオッズ比を区別しているものもあれば、相対リスクの中にオッズ比が含まれるものとして説明しているものもあるようです。広義の「相対リスク」には以下のものが含まれます。
率比
英語ではrate ratioと言い、発生率や死亡率など「~~率」の比を取ったものです。「率」は「単位時間当たり」の発生頻度を表すもの、つまり時間の概念が含まれています。1年間あたり、10年間あたりの疾病数などです。
割合の比
割合は英語でproportionと言い、1時点の発生数を全体数で割った値です。有病割合prevalenceが有名です。有病割合の比である、prevalence ratio(PR)はよく論文でも見かけます。
リスク比
英語ではrisk ratioと言います。リスクとは疾病等の発生頻度を表しますが、狭義には「ある期間中に新たに発生する割合」のことを指します。ここでいうリスクは割合で、リスク比は割合の比、つまり時間の概念が含まれない比であると言えます。
その他
教科書に出てくる狭義の「相対リスク」はリスク比のことを指します。一方で、広義にはオッズ比やハザード比も「相対リスク」に含まれます。
まとめ
相対リスクやリスクの言葉の定義は、参考書や文献によっても異なります。大事なことは、「ここでの相対リスクはどの概念のことを示しているのか」を正しく理解することです。